全国の日本画を描かれる皆様、こんにちは。
日本画家・本地裕輔です。
最近(2023年5月)
【しわにならない】下貼りを解説します。
長文ですが、じっくり読んでいただくと下貼りの失敗が100%なくなります!

【写真上】
仕上がった「サムホール」〜「8号パネル」です
シワのない下貼りは以下の2つをしっかり覚えてください!
1【新鳥の子にも「たっぷり」水をつける】
2【パネルにはいきなり糊を塗らない】

【解説】
では、日本画の下貼りについて1つずつ解説いたします。
まず、濡らした雑巾で「ベニヤの粉」を拭き取ります。ベニヤの粉は3回ぐらいしっかりと拭き取ってください。下貼りはベニヤの「あく」が和紙(本紙)の表面に到達するのを防ぐためにするのが目的です。

【写真上・のり】
のりは「でんぷんのり」を使ってください。
例えるならお米が乾くと「カピカピ」しますが濡らすと「ベトベト」する、あの感じです。
のりの濃さは愛知県立芸術大学の阪野智啓先生に「のむヨーグルト」ぐらいと、大学生の時に習いました。
また、のり刷毛は使用後にしっかりと洗わないと「かび」が生えやすいです。
例えるなら「おもち」のカビに近い感じです。
大学の時もカビている先輩がいました。
逆に山口貴士先生の道具は大学生の時から理路整然と整理されていました。今の山口貴士先生の絵の緊張感もあの大学時代に培われたものでしょう。

パネルは乾燥しているので、水で一度しめらせます。

「しゅろ刷毛」で中心から外に向かって空気を抜きます。

新鳥の子紙がパネルに「ピタっ」とくっつきます。

サムホールサイズ・下貼りがピッタリとはれました。

下貼りが完全に乾くまで一晩寝かます。
側面の「のり」が乾きにくいので、焦らずにじっくり乾かします。

翌朝・パネルの端に出た新鳥の子紙をカッターでカットします。
ちなみにカッターは無印良品のカッターです。
スマートなデザインではみ出た下貼りを切りやすいです。

すっぽり綺麗に下張りの紙を切りました。

【写真上・院展150号の下張り】
同じく、こちらも新鳥の子紙に「たっぷり」水を含ませて下張りをしました。
「ピシっ」とシワなく貼ることができました。
下貼りのコツはとにかく
「紙に水が浸透する」のをじっくり待つことが大切です。
日本画を描くうえで、焦らないことはとても大切です。
日本画家・山口貴士先生は院展の準備も前倒しで計画的にされています。
焦らないようにスケジュール管理も徹底されているのが上質な日本画作品を生み出す為の一つの答えなのかもしれません。

【下貼り・端っこカット前】

【下貼り・端っこカット後】
いかがでしたか?
上手に下貼りをするコツは
1【新鳥の子にも「たっぷり」水をつける】
2【パネルにはいきなり糊を塗らない】
です。
院展サイズも小作品サイズも要領は全く同じですので、綺麗な下貼りを目指して皆様
頑張って?ください!
#日本画描き方
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