全国の日本画を描かれる皆様、こんにちは、本地裕輔です。
今回は、日本画の描き方でお困りの方に、本地裕輔の2023年第108回再興院展 出品作の制作過程をお見せします。
日本画の描き方の1つのパターンではありますが是非、参考にしてみてください。
【写真上・完成作品】「名古屋港」
ポートビルから南極観測船ふじを見下ろした風景です。
小さい頃よくここで遊びました。
【写真上・小下図制作風景】
日本画の岩絵具で小下図を描きます。
基本的には岩絵具で小下図を描きます。
(色鉛筆や水彩では制作過程に違いが出ます)
写真上 小下図です。下地の感じが小下図で理解できるので日本画を描くときの制作工程の確認として大事な段階です。
・・ちなみに本地裕輔の日本画の絵皿は管理を最低限にするために全部で10枚前後です。
(予備校時代の齋正機先生も当時は齋先生のお皿は少ないと教えてくださいました)
??多分山口貴士先生(クリックでInstagramにリンクします)は日本画の絵皿は200枚以上?!あると思います。山口先生は「管理」が上手なんです。
【写真上・描き出し】
基本的には風景画を描くときは『遠景』から仕上げますが
今回はメインの「船のコントラスト」から仕上げていきます。波の調子などは「色面」としてまとめて処理します。
【写真上・墨入れ終了】
画面中心の船を基準に進めていきます。近景はほぼ「見え方のバランス」のみで処理しています。墨入れ(隈取り)完了です。
日本画を描くときの墨は、「茶墨」と「青墨」が一般的ですが、私の場合は定着がいい?!青墨を使っています。
鉛筆に例えると、『ステッドラー』で描くような感じです?!
山口貴先生は受験時代はステッドラー使っていたんですかね??
【写真上・白緑でリズムをとる】
いきなり岩絵具の白緑で描き出します。
最終的に決め色となる「白緑」を彩度が一度落ちるのを前提で初めに置いていきます。
【写真上・橙色を入れて白緑との調和を見る】
描き方にもよると思いますが、初めから色彩を「数多く」に入れすぎると、明度が基準になる写実系の場合は色のコントロールが難しくなります。
静物着彩も鉛筆である程度の「明度」の確認をしてから彩色に入るのですが、それと同じ原理です。
小下図の段階で「明度計画」を考慮して
意識を隠すように色彩でコーティングしていたりする場合が多いかもしれませんね。
(あくまで推測)
【写真上・2023年院展研究会】
研究会で一度大学に行きました。(研究会の詳細はこちらをクリック)大学で一度作品を「突き放して」みると家での見え方では気づかない部分に気づいたりします。
この研究会で山口貴士先生や岸本浩希先生の見え方と自分の絵が「弱く」見えていないかを確認します。
「マスキングテープ」
【写真上・マスキングテープを貼る】
最終的に初めに描いた窓の「線描き」が絵の具がはみ出たりしてずれてくるので、最後の段階でもう一度すみで線を頼りに描き直します。
【後半はほぼ画面を立ててかきます】
日本画を描く時は岩絵具や墨が水で垂れてくるので「寝かせて描く」のですが、本地裕輔の場合は後半はほぼ立てて描くことが多いです。
理由は以下の2点です
・画面のリズムや調子バランスを見るため
・絵の具を塗り重ねて、マチエルを作るため
金色の額縁を横に置いて色合いを確認します。
【写真上・完成】
名古屋港の光をイメージして描きました。
ゆったりとした港の広がりが感じられるような作品を目指しました。
#日本画描き方 #院展
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